言葉の表情
仕事帰り、駅から家までの帰路を自転車で走っていると、
前方にヨロヨロと自転車をこぐオバサンの姿が。
細い路地の為に抜き去る事も出来ず、
少しイライラしていると、
オバサンは僕に気づき、
「すいません」と柔らかく侘びて道を空けてくれた。
オバサンの言葉を受けて、
僕もお礼の言葉を自然に返した。
何でもない事だけど、
人との係わりの中で言葉は大切なんだなって感じた。
イライラしていた気持ちが、
感謝の気持ちに切り替わってしまったのだから。
発せられる言葉の内容うんぬんよりも、
言葉の表情の方が、
気持ちを伝える上では大切だったりするのかもしれない。
犬と接するとき、それを感じる。
僕の言葉の意味を全て理解できるはずもないのに、
僕の気持ちを敏感に感じ取ってくれる。
それは、声のトーンであったり、声の表情であったりするんだろうと思う。
人間も一緒なんだね。
オバサンの柔らかい言葉を聞いて、
ふとそんな事を感じました。
子供についての考察
姪っ子が鼻糞を食べていた。
ものすごい笑顔で。
少し誇らしげに。
なぜ、子供は鼻糞を食べるのだろう。
子供の頃、食べている子は周りにたくさんいた。
その大半は、ろくな大人になってない。
鼻をほじってみたものの、鼻糞の処理に困る。
食べちゃおうか、そういう結論に至るのだろう。
ティッシュに包もうとか、そういう工夫がないのだ。
考えるという事を放棄する怠惰以外の何ものでもない。
だから、ろくな大人にならない。
きっと、立派な大人になる子は、まず人前で鼻をほじらない。
羞恥心と道徳心とは深く繋がっているのだろう。
僕はどうだったのだろう。
間違いなく、鼻をほじっていた。
そして、こっそりと適当な所になすりつけていた。
そんな子供も、ろくな大人にはなれなかった。
従妹の子はウンチを食べた。
これは鼻糞を食べるのとは質が違う。
けして怠惰ではなく、
どんな味がするだろうという知的好奇心だ。
そしてウンチを食べるという勇気も併せ持っている。
こいつはきっと大物になる。
もしくは大馬鹿者になる。
いつかの少年
幼い頃の、ある病室での記憶。
僕の隣のベッドには、同い年くらいの一人の少年がいる。
少年は窓を背にして、僕に微笑みかける。
名前も顔も覚えていないくせに、
僕とその少年の、その間にある空気は鮮明に覚えている。
少年は重い病気を患っている。
周りの大人たちの態度から、何となくそう感じた。
どのくらい、僕は入院していたのだろう。
いったいどのくらいの時間を少年と共有したのだろう。
寂しくて泣いている僕を、
少年は「泣き虫」と意地悪そうに笑った。
少年は玩具をたくさん持っていた。
ベットの脇にはテレビもあった。
羨ましそうに見ている僕を見て、また意地悪そうに笑った。
一緒に遊ぼう、少年がそう誘ってきた。
僕は断った。それが僕のプライドだ。
でも、すぐに折れた。僕のプライドなんてそんなもんだ。
僕らは友達になった。
僕らの遊び場所、それはベットの上。
そして、快復した僕は、少年を残して退院した。
その時の記憶がない。
どんな顔で僕は少年と別れたのだろうか。
日常の生活に戻ると、僕は少年のことなんて、
すぐに忘れてしまった。
少年は心臓を患っていた。
快復する見込みはない。
その事を知ったのは、何年も後のこと。
病室で一緒に遊んだ鉄腕アトムの玩具。
あれから何年も押入れの中で眠ったままだ。
僕は大人になった。
何かに迷ったり、逃げ出したくなったとき、
少年の笑顔が浮かぶ。
「泣き虫、弱虫」
そうやって、意地悪そうに笑うのだ。
奴はいつだって少年のままだ。
日本シリーズ閉幕・・・
「トラがネコになってしもうた・・・」
テレビの向こう、年季の入った虎ファンがそうぼやいていた。
最後のバッター藤本が三振に倒れた瞬間に、
阪神タイガースの2005年のシーズンが終わった。
ロッテの4連勝。
果敢に内角を攻め込む投手陣、
流れを食い止める鉄壁の守備、
そして、迷いなく振り込む打撃陣。
その全てが脅威で、本当に度肝を抜かされた。
プレーオフから勝ち上がってきた勢いもあるかもしれないが、
それ以上にロッテというチームの強さを感じた。
選手たちは、心から野球を楽しむように、グラウンドで躍動する。
バレンタイン監督は本当に良いチームを作ったものだ。
その一方で、
阪神は、最後まで自分たちの野球をする事が出来ずに終わってしまった。
今年の阪神の強さの象徴、JFKと呼ばれた最強のリリーフ陣。
彼らを使う展開にすら持ち込めなかった。
打線は沈黙し、投手陣は先制点を許す。
そして、大事な場面で防げるミスを繰り返した。
前評判では、阪神に分があった。
全国のファンの期待も大きかった。
それが重圧となってしまったのか、
阪神の選手の硬さは、
ロッテの伸び伸びとしたプレーとは対照的に映った。
もちろん勝負事は勝たなければ意味がないかもしれない。
それでも、負けることに怯えすぎていたように見えた。
打席の中で迷う打撃陣、内角を攻め切れない投手陣、結果に落胆する選手たち。
日本シリーズという大舞台。
そこに立つことが出来る選手は一握り、
その喜びを感じて戦って欲しかった。
シーズン中、誤審した審判に向かって、
「俺達は命をかけて戦っているんだ!」と叫んだ藤川投手。
一年間、選手たちは必死に戦ってきた。
だからこそ、
苦しそうに野球をする選手たちを見るのが、
ファンとしては何より辛い。
でも、セリーグチャンピオンを勝ち取ったのは、
まぎれもなく阪神タイガースなのだ。
夢と感動をありがとう、阪神タイガース。
そして、千葉ロッテマリーンズ、日本一おめでとう。
日本シリーズ開幕!
待ちに待った日本シリーズの開幕!
20年ぶりの日本一を目指す阪神タイガースと、
31年ぶりにパ・リーグを制覇した千葉ロッテマリーンズ。
熱狂的ファンを持つ両チームの激突!
結果は、
10−1 7回濃霧コールドでロッテの圧勝。。。
濃霧で中止にならなかったら、
いったい何点取られていた事か。
ロッテのマリンガン打線の前に崩れ落ちた、阪神のエース井川。
マウンド上でうなだれる姿を、シーズン中、何度見たことだろう。
そして、今日も。
ファン、マスコミの誹謗中傷に無言で耐え続けた井川。
シリーズにかける意気込みは、
言葉で語る以上のものがあったに違いない。
「プロでの集大成をぶつける」
シリーズ前に、重い口からこぼれた、その言葉。
きっと悔しくて堪らないだろうな。
でもファンが望むのは結果だけじゃない。
マウンド上でのエースとしての立ち振る舞い。
審判の判定に落胆するような井川は見たくない。
もっと胸を張って投げてくれよ、井川。
マウンド上で躍動する姿をもう一度見せてくれよ、井川。
あんたのおかげで、阪神は強くなれたんだよ、井川!
我が故郷
慣れ親しんだ東京から、
生まれ故郷の愛知県豊橋市に戻り、
はや1年と少しが経つ。
高校卒業後、山梨の大学へ進学し、
そのまま東京へと移り住んだ。
長男という立場もあり、地元での就職も考えたが、
最終的には自分のやりたいことを優先してしまった。
映画の世界で一流と呼ばれる人たちのもとで働き、
自分で劇団を作り、舞台の世界にも足を踏み入れた。
生活は貧しく、それなりの苦労もあったが、
辛いと思うことはなかった。
仲間もいたし、何より、それが自分が望んだ世界だった。
そして、親父が脳出血で倒れた。
命に別状はなかったものの、
とても今までのように働ける体ではなくなった。
「自分のやりたいことをやれ。
でも、こんな体では援助できん、すまん」
親父は、そう詫びた。
豊橋に帰るという決心ができるまでに、
それから2年もかかった。
豊橋での再出発。
30歳を向かえ、また一から出発。
再会、そして新しい出会い。
感じるのは土地の温かさと、人の有難さ。
トリマー
本日、ようやくロンの散髪に行ってきました。
ペットショップにトリミングを頼むときはいつも不安だ。
ロンは発作を起こしてないか、お利口さんにしてるか、
トリマーさんに噛み付いてないか。。。
頑固者のロン、嫌なものは絶対に嫌。
トリミングも大嫌い。
大暴れして挙句に、噛み付いたりする。
そこで叱ったりしようものなら、
余計に興奮してパニックに陥ってしまう。
まあ、目が見えないから怖いのだろうけど。。。
自分でやれれば良いけど、素人にはなかなか難しい。
特にロンの場合は。
そんなロンを、嫌な顔せずキレイにカットしてくれるトリマーの皆様。
多少、毛が揃ってなかろうと、ロンをカットする苦労を思えば、本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。
技術だけでなく、愛情が必要な仕事。
そういう仕事って世の中にたくさんある。
介護や福祉だってそう。
本当に頭が下がる思いです。
いじめ
「生きていくしかないだろ。この狭い学校という世界の中で」
日テレ系列で今日から始まった、「野ブタ。をプロデュース」というドラマ。いじめられっ子の転校生をクラスの人気者にする為に奮闘する若者達のストーリー。
そのドラマの中で、主人公がいじめられっ子の女の子にいったセリフ。
「いじめ」って、どこにでもあるものなんだろう。
確かに閉鎖的でストレスが溜まるような環境に置かれれば、何らかのはけ口が必要になる。
以前働いていた犬の繁殖所。劣悪な環境に置かれた犬達は、集団で1頭の犬を攻撃した。ターゲットにされるのは、弱く小さな犬。それで命を落とした犬も何頭かいた。
でも、僕らは繁殖所の犬とは違う。
自分の意思で好きな場所にいけるし、自分で自分の場所を選ぶことが出来る。もちろん、自分で選んだからには、リスクは自分に返ってくるけど。
僕らが絶対的と感じている世界なんて、実はすごくもろく、実に小さな社会なのかもしれない。そんな中で自分を否定してしまうくらいなら、そんなくだらない社会は捨ててしまえば良いとさえ思う。
僕らが住んでいる世界というのは、けして狭くない。
それを知るだけでも、目の前の風景は変わってくる。
身動きできないほど苦しんでいるなら、一度全て捨ててしまえ。
リキとの散歩
近所の神社まで、リキを散歩に連れて行った。
ゆっくりゆっくりと歩を進めるリキ。
僕もリキに合わせて、ゆっくりゆっくりと歩を進める。
普段の生活にはないリズム。
捨て犬だったリキが、我が家にやってきたのが15年前。
本当にコロコロ可愛かった子犬の頃。
スクスク成長しすぎて、マルマル太ってしまった。
僕の顔を見ると「遊ぼう、遊ぼう」と吠え立てる。
よく隣の駐車場で二人で駆け回った。
そして、疲れ果てると、ふたり並んで座り、
ただボウッと通りを眺める。
そんな時間がリキも僕も大好きだった。
高校を卒業すると、僕は実家を離れた。
リキが寂しがってはないだろうかといつも心配だった。
でも時間が経てば、それが日常になる。
リキのいない僕の生活、僕のいないリキの生活。
そして1年前、
11年の年月を経て、一緒の生活がまた始まった。
もう駆け回ることは出来ない。
ほんのり冷たい風に吹かれながら、
リキはゆっくりゆっくり歩を進める。
すっかり年老いたリキの背中。
暑い夏、寒い冬を乗り切る体力が、少しづつ奪われていく。
それでも、僕が帰ってきてから、リキは元気になったと親は言う。
それが本当なら嬉しい。
リキ、また寒い冬が来るよ。
今年も一緒に乗り切ろうな。
我が母校
少し前の話。
仕事の休憩中に何気なくテレビを眺めていた。誰が観るでもなく、ただ漠然とNHKのドキュメンタリー番組が流れている。
そこで、夜を徹して50Kmを歩くという、とある高校の伝統行事が紹介されていた。そういえば、僕の高校もそんな事をやったなぁとぼんやり観ていると、見覚えのある顔が出てきた。
あれ、この先生、知ってる。あれ、うちの学校だ。。。
まさか、テレビで懐かしい先生と再会するとは思ってもいなかった。
我が母校、私立桜丘高校。
英語の授業は、アルファベットの練習から始まった。
そして、隣では分からないと頭を抱えている奴がいた。
部活動が盛んだったので部活の推薦入学で入ってきた連中、中学校の時に個性がありすぎて少し外れてしまった連中、成績で測られ自分は何の取り得もないと決めつけている連中、入学当時は、死んだ目をしている奴が沢山いた。
でも、そんな連中を包み込む温かさと情熱が、この高校にはあった。尾崎豊が死んだ翌日、そこら中の教室から、ギターを弾いて熱唱する教師の声が聞こえてきたという、そんな学校だ。
僕は桜丘高校の卒業生である事に誇りを持っている。
人の価値なんて、一つの角度からでは測れないという事を教わった気がする。
僕と同じような卒業生は、たくさんいるんじゃないだろうか。
認めてくれる、信じてくれる、そして、無条件に受けて入れてくれる。そういうものが、この学校にはあった。
伝統行事の渥美夜間歩行。
これを乗り越えて、初めて桜丘の生徒と認められる。
頑張れ、後輩たち!
愛犬ロン
最近、ロンの毛が伸び放題。
おまけに毛玉だらけだ。
かわいいロンが、どんどん小汚くなっていく。
ペットショップに連れていかなきゃと思いつつ、
発作が続いてたので、
もう少し落ち着いてからと思ってたら、
ひどい姿になってしまった。
お年頃の女の子なのに。。。
ロンはもともと体が弱い。
興奮したり、不安になったりすると、
すぐに発作を起こしてしまう。
痙攣しながら泡を吹いている姿は、
何度見ても慣れるものじゃない。
でも、生きていることに感謝しなきゃ。
医者はいつ死んでもおかしくない体だって言うしね。
まだ5歳なのに、よく老犬と間違われてしまうのが、
ちょっと悲しい。。。
ロンは視力が弱く、ほとんど何も見えない。
だから、歩く度にコツンコツン頭をぶつけている。
それでも、尻尾を振りながら楽しそうに歩く。
そんな姿は、ちょっとアホな子みたい。
でも実際、ロンの頭はどこかおかしい。
いつも左回りでクルクル回ってる。
それがロンの感情表現。
嬉しい時も、怒った時も同じ。
回る速度で気持ちの強さを表す。
非常に嬉しい時は超高速回転。
一緒に暮らして4年。
ときどき思う。
ロンが感じている世界はどんな世界なのか。
その中で、僕はどんな存在なのか。
せめて友達ぐらいには思っていてほしいもんです。
阪神タイガース リーグ制覇!
9月29日、甲子園で岡田監督が宙に舞った。
2003年に続いてのリーグ優勝。
ダメ虎と呼ばれたタイガースが、
今や立派なチャンピオンチーム。
人生、やって出来ないことはない。
タイガースがそれを教えてくれた。
僕の育った愛知県は中日ドラゴンズのホームグランド。
もちろん、周りは熱狂的な中日ファンばかり。
僕も子供の頃はドラゴンズの帽子をかぶらされていた。
それでも、僕はタイガースが好き。
きっかけは伝説の野球ゲーム、ファミスタ。
当時、男子の間で流行っていたファミコンの野球ゲーム。
友達の家に集まっては、ファミスタで遊んだ。
その時、僕が贔屓に使っていたチームがタイガース。
圧倒的な打撃力で部類の強さを発揮しており、
ゲームが下手糞な僕にとっては丁度良いハンディとなった。
僕はファミスタというゲームを通じて、
プロ野球の選手を覚えた。
ばあす、かけふ、まゆみ、えがわ、はら・・・
テレビをつけると、ファミスタで遊んだ選手が、
実際にグランドで活躍している。
僕は興奮した。
それでも、何か違う。。。
そう、僕のタイガースがすこぶる弱いのだ。
「ばあす」もいなければ「かけふ」もいない。
あの強いタイガースにいったい何が起こったのだ!
それ以来、僕はとても他人とは思えず、
タイガースを応援し続けている。
負けても、負けても、負けても、
たまに勝って、そして、また負けても。
そして、いつの間にか、タイガースを応援する事が、
僕のライフワークとなってしまった。
タイガースはいろんな事を僕に教えてくれる。
タイガースは僕の人生の一部であり、
タイガースのない人生は考えられない。
この気持ちが、女性に理解されないのが悲しい。