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My life with Tigers 

タイガースの戦いに一喜一憂しながら、
日々の生活は続いてゆく

出会いパーティー
友人に誘われて、出会いパーティーたるものに参加して来た。出会いパーティーと呼んでいいのか、合コンパーティーと呼んでいいのか、とにかく見ず知らずの男女が出会いを求めて集まるパーティー。

会場はビルの最上階にある小さな展望レストラン。名古屋の夜景を背に、40名ほどの男女がそこに集まった。

パーティーという言葉の響きに憧れる。なんかダンディズムな香りがする。僕は紳士に振る舞い、そして大人の恋の駆け引きを楽しむ、そんな事を夢想していた。

会場に着くと、友人と僕以外には誰もいなかった。早すぎた。気張りすぎた。しばらくすると、次第に人が集まり始める。思っていた以上に年齢層が高い。考えてみれば、若い人など、出会いは日常に溢れている。出会いがない人がここに集まるのだ。何か軽い好奇心でここまで来てしまった自分が恥ずかしくなってくる。みんな、真剣だ。

パーティーというからには、社交的で楽しい雰囲気を予想してたが、実際は違った。女性は決められたテーブルに座り、男性が順番に彼女たちの席を回っていく。割り当てられた時間は5分程度、時間がきたら音楽がなり、司会の人が男性は次の席へ移動するように促す。それぞれ名前も明かさず、番号で呼び合った。

僕の夢想はすぐにかき消された。そういえば、大人の恋の駆け引きなどした事ない。大体、僕は人見知りだ。

それでも、少ない時間の中で、僕は必死にしゃべった。何となく間違っている方向に進んでいる自分がそこにいる。大体、普段はそんな必死で話さない。どちらかというと、「聞き上手ね」なんて言われるタイプなのに。完全に自分を見失った。そして、女性の顔も番号もあまり覚えていない。その場を乗り切る事で精一杯。僕は何故か「関西弁が嫌いだ」と言う事を必死にしゃべっていた。

一通り回り終えると、男女が向かい合って一列に並ぶ。そして、気に入った番号を用紙に記入してカップルが成立する。

その日は3組のカップルが誕生した。そのうちの1組は僕の友人だった。僕には春はやってこなかった。まあ、当然といえば当然の結果であるが。それでも、友人に出会いが生まれた、それだけでも来たかいがあるというものではないか、そう納得させた。

カップルになった友人は、時間も遅いので、連絡先だけ交換して、その場で女性と別れた。電車の中で、友人は早速相手にメールを送った。こういうのは迅速な対応が肝心だ。

メールは、待てども、待てども、返ってこなかった。
僕は、パーティーという言葉の響きに憧れる。
| 日記 | 00:51 | comments(0) | trackbacks(0) |
リキ
陽だまりの中に、リキは横たわっていた。
リビングのガラス戸の向こう、コンクリートで固められた狭く質素な内庭、それがリキの世界。塀の隙間から差し込んだ朝の日差しが、リキの周りだけに降り注いでいた。その光景に、一瞬見とれてしまった。

「リキが死んじゃった・・・」
僕はその朝、半べそをかく母親に揺り起こされた。寝起きの悪い僕だが、すぐに状況を把握した。予感はあった。

前の晩、寝ているリキに毛布をかけてやると、いつもある反応がなかった。どんな深い眠りについていても、毛布をかけてやるとリキは起きて顔を上げる。ただ、その晩、リキは眠ったまま動こうともしなかった。不安になり、リキの体に触れると、かすかに顔を上げ、そのまま、再び眠りについた。

それが最後のリキとの時間。あまりに寂しい最後の時間。もう少し一緒に、後ほんの少しでも一緒にいれば良かった。今更、だけど。

リビングから見えるリキの姿は、まるで眠っているようだった。母親の勘違いだ、リキはただ眠っているだけ、そう思いながら、ゆっくりと庭に出た。ゆっくりと。
やっぱり、リキはそこにはいなかった。あるのはリキの肉体。頭をなでると、まだ温もりが感じられたが、リキの顔に表情はなかった。まるで剥製みたいだ。冬の寒い朝、リキの周りだけは、すごく暖かかった。

2週間ほど前から、リキの顔が急に老け込んでしまったように見えた。ただ、毎日散歩にも出かけるし、ご飯も沢山食べていた。それでも、何かが違った。ひどく寂しそうな感じがした。老いるという事はそういうものなのだろうかと思う一方で、違う思いもあった。

僕が実家に帰ってくると同時に、ロンも我が家の一員になった。体が弱く小さなロンは、いつの間にか我が家の主役になりつつあった。リキは嫉妬してないだろうか、愛情を奪われたと思ってないだろうか、その事がひどく気がかりだった。

リキ、ごめん。
息のないリキに何度も謝った。謝ることしか出来なかった。もっと愛してやれたのに、昔のように一緒に遊びたかったのに、一緒に日向ぼっこしたかったのに、結局できなかった。リキがそれを望んでいたかどうかなんて分からないけど、僕はそれをしてやれなかった事が申し訳なくてしょうがなかった。離れて暮らした十年間という月日を取り戻したかったのに。結局、あの頃のように心を通わす事は出来なかった。

実家に戻ってきた僕をどんな目で見てたんだろうか。昔とは変わっちゃったって思ったんだろうか。昔みたいにずっと一緒にはいられないし、自分のことで精一杯で、昔みたいにリキのことばっかり考えてられないし、ロンも心配だし。こんな突然、別れが訪れるとは思ってなかったし。こっそりと眠るように行ってしまうんだから。言い訳ばかりが出てきた。今更、言い訳して何になる、そう思いながらも、必死に弁明した。

もっともっと一緒にいれば良かった。
リキがいなくなって5日あまり、僕の生活は何も変わらない。何の変化もない。その事が、ひどく寂しく感じる。

リキは浜松のペット霊園で眠っている。必ず会いに行くから。


| 大好きな犬たち | 00:57 | comments(2) | trackbacks(0) |
悪魔
「殺すつもりはなかった。悪魔が入ってきた」
広島女児殺人事件のペルー人容疑者の供述を聞いて、
ふと思い出した事がある。

昔、舞台演出の真似事をしていた頃、
ある役者が、冗談めかしてこう言った。
「役作りなんて必要ない。役が自分に降りてくる」
それを聞いて腹が立ち、罰として鬼のような長セリフを与えた。

演技というのは、他人になる事ではなく、
他人を自分の中から見つける事だと思う。
自分にないものを表現できるはずもない。

殺人者の役は、殺人者しかできないのか。
人を殺した事はなくても、人を殺したいと思った事はあるか、
人を殺したいと思わなくても、人を憎んだ事はあるか、
人を憎んだ事はなくても、人に嫉妬した事はあるか、
掘り下げていけば、自分の中に殺人者はいる。

人を構成する要素なんて、皆そう変わりない。
どの要素が強いか、それだけだ。
そこに肌の色は関係ない。
あるとしたら環境だ。

悪魔が入ったのではなく、悪魔は自分の中にいる。
同じように天使もいる。

何を強く感じるか、
それによって、人はいくらでも変わる事が出来るんじゃないか。
良い意味でも、悪い意味でも。
| 日記 | 02:43 | comments(0) | trackbacks(0) |